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成年後見制度とは

成年後見人等が本人に代わって権利や財産を守り、本人の意思を尊重し支援する制度です。

認知症や障害によって、ものごとを判断する力が低下すると、自身で財産管理やサービスの利用手続きをすることが難しくなることがあります。

成年後見制度は、支援者(成年後見人等)が本人に代わって金融機関の手続きや必要な福祉サービス等の契約を行ったり、本人にとって不利益な契約を取り消したりすることにより、権利や財産を守り、本人の意思を尊重した生活ができるよう支援する制度です。

  • 成年後見制度 ―利用をお考えのあなたへー(最高裁判所)
  • 後見人等Q&A さいたま家庭裁判所

成年後見制度の利用が望ましいと思われる事案

認知症、知的障害、精神障害があり、下記に1つでも当てはまる場合は、成年後見制度の利用をご検討ください。

  • 日常生活に支障をきたすような行動や意思疎通の困難さが時々見られる
  • 福祉サービスの内容が理解できず、本人に代わって契約の手続きが必要である
  • 不動産処分や定期預金の解約手続きなどが必要である
  • 生命保険などの請求の手続きが必要である
  • 遺産相続の手続きが必要である
  • 税金の申告が必要である
  • 賃貸借契約の手続きが必要である
  • 借金の整理、ローンの返済が必要である
  • 裁判所の手続きが必要である
  • 高額な買い物をしたり、消費者被害に遭ったことがある
  • 借金をしたり、他人の保証人になってしまう
  • 親族や親族以外からの財産侵害がある

解説動画「ふく博士と学ぶ成年後見制度」約22分

法定後見制度

すでに、判断能力が不十分になっている場合に、申立てにより、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人に代わって権利や財産を守り、本人を支援する制度です。

3つの類型

対象となる人は判断能力の程度により3つの類型にわかれます。

後見:まったく分からない

支援を受けても、契約などの意味や内容を理解し、判断することができない状態。たとえば、日常的に必要な買い物も、ひとりでは難しく援助が必要な人がこれにあたります。

本人の援助者として「成年後見人」が選任されます。

成年後見人には、日常生活に関する行為を除く全ての法律行為を本人に代わって行う「代理権」や本人が既にしてしまったことを取り消すことができる「取消権」が付与されます。
また、成年後見人は、申立てのきっかけとなったこと(金融機関での手続き、遺産分割協議等)だけではなく、身上保護及び財産管理について、本人のために活動する義務を広く負います。

保佐:難しいことは分からない

支援を受けなければ、契約などの意味や内容を理解し、判断することができない状態。たとえば、日常的な買い物程度はひとりでできるけれど、重要な財産行為(不動産や自動車の売買、自宅の増改築、金銭の貸し借り等)は自分ではできない人がこれにあたります。

本人の援助者として「保佐人」が選任されます。

保佐人には、本人が行う法律行為に同意して完全に有効にする「同意権」や本人が既にしてしまったことを取り消す「取消権」が付与されます。

本人は、重要な財産行為はひとりでは行うことができず、保佐人の同意が必要となります。保佐人の同意なく行われた行為は、保佐人や本人が取り消すことができます。

代理権が必要な場合は、家庭裁判所に申し立てれば、必要な範囲で代理権が付与されます。また、代理権を付与するには本人の同意が必要です。

補助:一人では難しいこともある

支援を受けなければ、契約などの意味や内容を理解し、判断することが難しい場合がある状態。たとえば、日常の買い物はひとりでできるが、重要な財産行為(不動産や自動車の売買、自宅の増改築、金銭の貸し借り等)は不安な部分が多く、援助者の支えがあった方がよいと思われる人がこれにあたります。

本人の援助者として「補助人」が選任されます。

補助人にはもともと代理権や同意権などの権限はなく、それらの権限が必要な場合は、家庭裁判所に権限付与の申立てを行う必要があります。また、それらの権限は包括的に付与されず、本人がひとりで行うのが難しい事柄について、必要な代理権や同意権を選んで申立てることで、補助人に個別に付与されます。なお、これらの権限を付与するには、本人の同意が必要です。

  • 本人の判断能力が3つの類型のどれに該当するかは、申立時に添付する医師の診断書を目安にして最終的には家庭裁判所が決定します。(事案により、医師による鑑定を必要とする場合もあります)

成年後見人等ができること

  • 生活や療養看護に関するもの
    • 日常の見守り
    • 入退院の手続きや施設の入所契約
    • 福祉サービスの利用契約、内容の確認など
  • 財産管理に関するもの
    • 預貯金の管理や各種支払い手続き
    • 有価証券や不動産の管理
  • 本人が不利益な契約を結んでしまった場合の取消しなど

成年後見人等ができないこと

  • 介護や家事のような事実行為
  • 手術などの医療行為についての同意、延命や看取りについての同意
  • 本人の保証人になることなど
成年後見人等ができること、できないこと

任意後見制度

将来、判断能力が不十分になったときに備え、あらかじめ本人が選んだ人に代わりにしてもらいたいことを契約(公正証書)で決めておく制度です。

判断能力が低下し、任意後見監督人が選任されてから任意後見人の仕事が始まります。

法定後見制度と任意後見制度の比較

法定後見制度任意後見制度
成年後見人等の選任家庭裁判所が本人の判断能力を審理し、成年後見人等を決めます。本人が自分の意思で、任意後見受任者を決めておきます。
手続き申立人が家庭裁判所で行います。本人が公証役場で行います。
内容本人の判断能力に応じて家庭裁判所が決定します。本人と任意後見人があらかじめ取り決めた内容になります。
※取消権はありません。
成年後見人等への報酬本人の資産状況に応じて家庭裁判所が決定します。本人と任意後見人が取り決めた内容になります。
監督原則として、家庭裁判所の監督を受けます。定期的に後見業務の内容を家庭裁判所に報告する義務があります。家庭裁判所が選任した任意後見監督人(弁護士など)の監督を受けます。

成年後見制度を利用するには

成年後見制度の利用」をご覧ください。

お問い合わせ

高齢・障害者権利擁護センター(事務局 権利擁護推進課内)

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